何年前の映画の話するんだって感じだけど, インターステラー最高.
以下ではMTW:「電話帳」を読んだことを前提とする.
話のテーマが最終的に「愛」になってしまうので, SFを期待していた人にとっては興ざめらしい. そもそもこの映画はKip Thorneがワームホール好きすぎて生まれたので, 科学的にはきちんとしている.
昨日は、Caltechの物理教室談話会(コロキウム)で、Caltechの名誉教授で、映画 『インターステラー』 のプロディユーサー兼科学アドバイザーだったキップ・ソーンさんが講演をされました。
「ハリウッドでの物理学者の冒険」というタイトルで、SF映画に科学的内容をできるだけ盛り込むように、どのような努力をしたかというお話しでした。
この映画は、もともとはソーンさんと、友人の映画プロデューサーのリンダ・オブストさんの発案でしたが、…
そんなこともあり, 映画から論文が生まれている. 最高かよ.
しかも無料で読める.
arXivで調べなくていいのかよ. 最高かよ.
Gravitational lensing by spinning black holes in astrophysics, and in the movie Interstellar
インターステラーを科学的に批判するなら, 当然この論文読んでるよね?
ちょっとだけこの論文の話をすると, DNGRというレイトレプログラムをIMAXクオリティで作ったというものらしい.
科学的にはBH近傍でBH shadowについて調べたというのが, 重要だと思う.
BH近傍で観測することなんて今のところまずできない;
科学的に重要性が低いので,
こんなことにお金をかけれるのは映画のおかげ.
こうやって映画のおかげで科学が発展していく/科学が認知されるというのがすばらしい. ということで論文読もうな.
映画の軸となるのは2つの天体:ワームホールとガルガンチュアと呼ばれる大質量ブラックホール
ワームホール
個人的に回転するワームホールについては知らないので, あまり語らない. staticにしろrotatingにしろ, Δみたいなのが必要なので一番現実的じゃないと思う. まあワームホールがなきゃ成り立たないので, いちゃもんでしかない.
ガルガンチュア
でガルガンチュア. 時間の遅れやペンローズ過程について触れられている.
時間の遅れは単純な双子のパラドックスではなく, 質量と回転による相対論効果によって生じている.
単純に惑星がガルガンチュアの周りを早く回転しているとかではないことをよく理解する必要がある.
Kerr計量から質点の方程式が求められるので, 上の論文から実際に「1時間が7年」になるか調べられそう.
どっちにしろパラメータがどれだけ正しいかってのはあまり重要ではない.
それこそ「ワームホールが存在するか」というということに比べて,
「1時間が7年」か「1時間が2時間」かということは大差がない(と理論屋は考えがち).
ペンローズ過程はあまり詳しく知らない. 一つ言えるのは順回転であればBHにかなり; それこそSch. BHよりも近づけるのでけっこうなエネルギーを稼げるんだと思う.
特に明言しておきたいのは, いつの時点においても, 時間が巻き戻ることはないということ. これが相対論の原理であり, 覆すことはできない. これが本作の科学のテーマであり二人の科学者が越えようとしたことである.
とにかく面白ければ科学的に正しいかってどうでもよくない?
俺の宇宙では音がする
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